teacup. [ 掲示板 ] [ 掲示板作成 ] [ 有料掲示板 ] [ ブログ ]


新着順:4/8 記事一覧表示 | 《前のページ | 次のページ》

『モンド』

 投稿者:谷 昌親  投稿日:2010年 6月18日(金)15時42分13秒
  通報 返信・引用
   宮野さん、発表お疲れさまでした。
 今回については、原作者ル=クレジオが映画化を許した唯一の監督というだけに、小説との違いをはらみつつも、幸福な形で映画になった例と言えそうです(もっとも、この『モンド』だけでなく、今回発表で取り上げてもらうものは、おおむね映画化がうまくいっている例だとぼく自身は思っているのですが)。
 そのなかで、小説と映画の違いとして、色の問題に注目してくれたのはおもしろかったですね。もちろん、小説においても色は重要で、当然ながら記述はあるわけですが、やはり視覚的に受け取る場合とでは印象が違います。とくに、赤の扱いの違いといのは興味深いですが、やはり実際に眼で知覚すると、赤から受け取る感覚が異なってくるということもあるのだと思います。
 また、「黄金」についての説明がありましたが、ある特定の人間のものなのか、皆にとっての恵みなのかという問題は、ル・クレジオの自然観にもつながるように思いますし、そうした自然との関係のなかで人間がどのように生きていくのかというテーマにもつながっていくでしょう。

 今回のル・クレジオやトニー・ガトリフは、いずれもいわゆるヨーロッパ的なものから逸脱し、非ヨーロッパ的な文化に向かうというところがありますが、それが彼らの作品に他にはあまりない魅力をもたらしています。それでいて、そうした作品はあくまでヨーロッパの文脈で観ることができるものでもあります。そのあたりの関係もおもしろいと思いますし、グローバリズムが問題視され、エコロジーが推進される世界の現状のなかで彼らの作品を読んだり見たりすると、いろいろと考えさせられるところがあります。そうした作品を、少年の物語として書いてしまうあたりがル・クレジオの才能だということになるのかもしれません。
 
 
》記事一覧表示

新着順:4/8 《前のページ | 次のページ》
/8